彫刻家 武荒信顕の作品紹介：市川市文化会館のバナー、案内旗のデザイン 2011

市川市文化会館の案内旗2011年バージョンです。

お題は、「市川市文化会館」、文化の殿堂です。皆さんは、「文化」と言う言葉から、どんな事を思い浮かべますか？

先ず、思い浮かぶ言葉を列記してみます。最初に、そのままですけれど、文化、それから、文学、音楽、書道、演劇、絵画、工芸、彫刻、華道、茶道、舞踏・・・とやります。それから、グラフィックデザインの世界では定番のテクニック、タイポグラフィーを使って構成したのです。タイポグラフィーと言うのは、簡単に言うと、文字に依る構成の事です。文字を大きくしたり、回転させたり、太く細くしたりします。列挙した言葉を、文字にして、旗の上部は密度を高く、下部にまばらに、置いたのです。最初に見た時には訳が分からん、何が描いて有るのだろう？２度目に見た時には、何か「文字」が見えた様な気がする。もう一度見たら、知っている言葉が沢山重なっているのだ、と気が付く仕掛けなのです。

文化会館とは、どんな所なのだろうか？楽しさを満喫する場所である。との定義によって、構成する事にしました。「楽しさ」を象徴する「水玉模様」を使って単純明快に表現しました。「浮遊感」、「高揚感」をイメージしたデザインです。単純なかたちを、高彩度の赤の中に配置して、アイキャッチと成る様にイメージしたデザインです。
うきうき感、ふわふわ感なんかを感じて頂けるのではと思います。

デザイナーの武荒は、市川市文化会館への案内バナーのデザインを依頼されたのです。案内旗のデザインです。以前のものは、2007年に私がデザインしたもので、JR総武線の本八幡駅南口から市川市文化会館までの道筋に、ズラーッとぶっ立っていました。それが、古くなってもうボロボロになってしまったので、この際、図案も新しくして作るべーっ！っと言う事になったのです。それで、今回も、デザインを武荒に依頼するべっ、て事になったんだべっ。

デザイン案を２つプレゼンして下さい、どちらか１案を採用しますと言う事でした。何時ものお仕事と同じ、採用は１案、日の目を見ないアイデアが出るのだな、と思いつつ、最終アイデアを２案、提出したのです。どっちになったのかな、と思いつつ待っていました。そして、「決まりましたっ！」て言う知らせを頂いたんです・・・でも、なんだか訳が分からなかったんですね・・・んーっ・・聞き間違いかなっ？！

電話の向こうで、担当の Oさんがおっしゃるには、「２案、両方とも使う事になりましたっ！」って！？「え？１つではないのですかっ？」と、私。「両方ですか・・？」と畳みかけてもう一度。「両方、２つともです！」とOさん。「２つともなのですか？」、「２つともです！」、え、訳分からん！

お話しをうかがって、こういう事と分かりました。ま、デザイン決定会議が開かれたんですね、皆さん喧々諤々やって、決まんないから、たすうけつじゃ、お互い恨みっこなしだぞっ、てめえらわかったな！そっちこそ！となって、決をとったら、あらま、同点になってしまったのだそうです。うにゃー、人数、偶数だったんですね！ホントに恨みっこなしになってしまったのです。しかし、これでは決まらんぞ。困ってしまってにゃんにゃんにゃにゃん・・で、再び事態紛糾か？となったのですが、それでは何時まで経っても決まりません。そこで、Topの責任でどちらか決める事になったんですってーっ！

Topは、「それでは、これで決まりじゃーうりゃーっ！」とやったんです、そしたら、意見不採用になってしまった側が「えーっうそーっ！恨んでやるーっ！」と落胆をあらわにしたのでした。お気に入りを採用されない事になった側が、あんまりガッカリした顔をしたので、Topが、これではマズイぞ、恨まれちゃうぞ・・と表情を曇らせていると。それなら、両方とも使っちゃえばイイべーっ！と清らかな天の声が何処からともなく聞こえて来て、全員が「うおーっ！エクセレント！グッドアイデアだべーっ！」と決着したのだそうです。
２案を、裏表にしてしまえば良いべーっ！解決！て事です。余談ですが、「べーっ」っと語尾に付けるのは、我が市川の方言なんですが、最近は、聞かなくなりました。
そんな具合で、市川市文化会館にお出でになる皆様をお迎えし、文化会館を後になさる皆様を御見送りする事となった、市川市文化会館案内旗のデザインです。

Pax intrantibus, salus exeuntibus.　

訪れる者に安らぎを、さりゆく者に幸せを・・・